2009年9月8日火曜日

生ハムと酒池肉林




イタリアとスペインを旅すると日本人観光客が必ず美味しいという食物がある。それが生ハムである。ハムと言えば日本では色々な肉を混ぜ合成保存料たっぷりの贈答肉のイメージが強いが、ヨーロッパ、その中でもイタリアとスペインのそれは、肉のあまり好きでない私でさえお勧めの一品だ。日本の生ハムはブタの種類が違うのか?

猪に似たヒズメの黒いブタの足を切り取り、簡単な塩、胡椒だけで味付けをし、吊るして一年位乾燥させて出来上がる。半分乾燥した生肉と言って良いか。シンプルではあるがワインと良く合う珍味だ。
 スライサーで薄く切り、メロンとワインで食べると、それはもうこの世の天国と言って良いほどの美味であろう。

特にお尻の肉のたっぷり付いた後ろ足がおすすめ。左右どちらか忘れたが、どちらかが値段も高く、通の人はそこまで選んで買うと言う。ブタ君は同じ方向に寝るとかで脂肪の乗り具合の関係なのか、左右の足の肉の付き具合が違うらしい。
 イタリアではパルマの生ハムが有名。パルメザンチーズの名でお馴染みのあのパルマ産が高級の代名詞。サッカーの中田が当初セリエAのこの町に所属して居たので有名になった地名である。

スペインでは ハモン・イベリコと言うブランドハムが最高級の代名詞。どちらとも甲乙付けがたい。私は食べていないが、同じ物が中国に有るとの事。商社の友が日本に入れたがっていたのを思い出す。

日本ではうっかり成田へ持ち込むと、成田の動植物検疫で没収させられてしまう。本当は税関員が食べたくてという噂が立つほど美味なのだ。早く規制が取れて安く腹いっぱい食べたいものだが。

食べられるブタ君には可哀相だが、殺されるまで彼らも天国のような生活を送れるのです。スペインで聞いた話だが、彼ら彼女らブタ君達は大きな樫林の中で人間も食べようと思えば食べられるほど美味しい「どんぐり」を好きなだけ食べさせて貰い、寝泊まりする宿舎は一ヵ所。ガイドはこれを男女混浴、酒池肉林と言った。

平均ブタ君の一年を人間の10歳位と計算して、3~4年くらいで出荷されるとすると、これまた想像だが、人間で言えば40歳くらいまで、食べて、歌って大騒ぎ、一日中フリーセックス。こんな生活有って良いの?夢ではないの?と言う感じだろうか?

幾ら殺され食べられる運命に有るとは言え、他のブタ君に比べれば、なんともうらやましい、充実した(?)一生ではありませんか。
こういう生活を我々は酒池肉林と言って、もしかしたら私だけかも知れませんが、世間の道徳をすべて忘れて一度はやって見たいと憧れるのではないでしょうか。衣食住の心配なく、自由に本能のおもむくままに生活したら、どんな感じかと想像するだけでも楽しいではありませんか。

これから何処かで生ハムを食べる機会が有ったら、酒池肉林、~、~と言いながら食べる事にしよう。そうすればより美味しく食べられる事請け合い。
 でもきっと廻りの女性たちが不思議がるだろうな。
     「何をにやにやしながら食べているの」 「いえ その--酒池肉林でして」。
   最後少し品がなくなったことをご勘弁。

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