2009年12月26日土曜日

クリスマスといえば「聖しこの夜」


クリスマスの時期になると必ず思い出す場所がある。クリスマスには欠かせない聖歌「聖しこの夜」が最初に歌われたオーストリアのチロル地方にある「オーベンドルフ」村の小さな教会、「聖ニコラ教会」である(左写真)。本当にノンビリした寒村の教会で、見た目も中味も想像以上に小さいのに皆驚く。

資料を見るとこの曲は一晩で作った急ごしらえの曲との事。この教会の神父さん(ヨゼフ・モール)が作詞し、学校の先生であり教会のオルガン奏者でもあった(フランツ・グルーバ)が作曲とある。
この曲が生まれた経緯を知ると面白い。聖歌にはそれを伴奏するパイプオルガンが付き物ですが、そのオルガンのパイプをネズミにかじられ穴が開いてしまったとの事。お陰で音が出ずクリスマスに歌う聖歌隊がオルガンの伴奏なしになってしまった。困った2人は教会内にあったギターだけで伴奏できる曲を慌てて作ったのが誕生の由来。
 ギターではパイプオルガンの厳かさや複雑な音は出せないがギターの音だけでも伴奏が欲しいと思った2人のひょうたんから駒であった。裏を返すとギターだからこそ歌いやすいこの曲が出来たのかも知れぬ。
旅行客にしてみれば教会内にずっとこの曲が流れていて欲しいのだが入っても流れず、ただの小さな教会を見るだけなので少し拍子抜けするのが実体験でした。

教会に入ると壁の両側に作者2人の肖像画(写真ではなかった?)が掛けてある。この2人もこの曲がこれほど世界中で歌われるとは思っていなかったであろう。まさに作者冥利に尽きるとはこのこと。
ビートルズの「イエスタディ」などの名曲なども遊びながら口ずさんでいたのがあそこまで名曲になったというのは有名な逸話なので皆もご存知であろう。意外と名作や名曲などはこんな誕生の仕方が多いのかも知れぬ。

旅行客の減るヨーロッパのこの時期、旅行会社も知恵を振り絞り、何とか集客しようと必死なのだが、安くなった飛行機、ホテル代などを売りにクリスマス・ツアーの目玉にと、一味ひねったこの教会を入れるツアーも出てくるようになった。各都市のクリスマスマーケットを巡りながらこんな田舎へ行くのも「オツ」なものではないか。
 オーストリアはアルプスに国土の多くが寄り添っているのでこの時期寒いのだが行ってみたい教会の1つである。寒くてもヨーロッパという方にはお勧め。

人生不真面目に生きている私などこの曲を聴くたびに襟を正すきっかけになる曲なのですが、そこで一句
「サイレント・聞いてもすぐに・飲み騒ぐ」 私も典型的な日本人でした。