2009年9月16日水曜日

ドイツの小麦ビールとロマン王




ドイツを旅するとビールの銘柄の多さに驚く。大手ではHB社とライオンマークのルーベンブロイ社が有名か。
ミュンヘン周辺だけでも300社は有ると言う。日本酒の地酒屋感覚である。 私自身の好みで言えばワインが先に来るが、やはり運動後に飲んだ時の爽快感を思うと生ビールを発明した人は本当にノーベル賞ものとはうなずける。
 本来アルコールが強くない私にとってのビールとは運動後の最初の一杯がすべてという感じの飲み物だが、こんな私でもいつも食事の時にドイツで飲むビールが有った。白ビールの一種である、「バイツェン・ビール」と言う小麦で作ったビールである。長いブーツ風グラスにレモン・スライスを入れて飲むのが一般的な飲み方である。

このビールの特長は苦くなく、水代わりにがぶがぶ飲めることだろうか。水では物足りないが、さりとて軽いアルコールが欲しいという人にはお勧めのビールだ。 初期の頃レストランで水を頼んだ時ビールと同じくらいの値段を取られたのが悔しくて、それならビールをと頼んだのが始めだったと思う。もっともドイツの塩辛い食事にはどうしても塩気を中和する軽いアルコールが欲しくなるのだが。

特にバイエルン州フュッセンの白鳥城(写真参照)の麓で飲む「バイツェンビール」はまさにノーベル賞物と言って良いかも知れぬ。不思議とバイエルン州以外では、何処のレストランでもすぐ見つけられるビールではない。
ただ本当の酒飲みの感想によれば気の抜けたビールの様な味で美味くないとの事。気の抜けたビールとは言え、アルコール度は5%もあるので、全くのアルコール嫌いには、さすがにお勧めできない。繰り返すが付き合いで一口だけという人にお勧めのビールと言う事をお忘れなく。
 日本で強いて近い味を探すと言えばスーパーで時々見かける「銀河高原ビール」(?)とかいう名前のビールが比較的近いかもしれぬ。お試しあれ。

ドイツのビールと言えばすぐミュンヘンのオクトーバフェスト(10月祭り)が有名。10月には100万都市のミュンヘンに数倍の観光客が来るとの事。昼は名城ツアー、夜は市内会場に作られた大手ビール会社のテント内のショウーを見る。そのショーたるやアルプス周辺に昔から伝わる農民達の素朴な踊りやヨーデルが中心だが、見るというよりは祭りの雰囲気に酔うと言う方が正しい。
 祭りの出店を冷やかしたり、普段内気なドイツ人の陽気に騒ぐ変貌振りを見たりと、この祭りの喧騒・興奮に浸るのは一見の価値がある。祭りの帰りに寄り道してミュンヘンで一番大きなビアホールHB へも足を運んで見よう。ヒットラーによるナチス党の旗揚げがあったという王宮付属の醸造所である。
寄り道しても損はない。

かっちりしたイメージのドイツの中でバイエルンという州、ビールはもちろんだがロマンチィク街道、
アルプスの景色、歴史、城や教会などが味わい深く、文化の香り高いドイツNo1観光州で有る。
 中でもディズニー映画のモデルとなったルードウッヒ2世(写真参照)の作った城と彼の悲劇がどうやら女性達の心を騒がせる様だ。この狂気のロマン王の事はここでは省くが、彼の作った3つの城を見れば誰でも
ファンになるであろう。まさに日本人好みの州“バイエルン”である。

その辺の詳細をもっと知りたい人はルキノ・ビスコンティ監督「ルードウイッヒ2世神々の黄昏」の映画をお勧めする。映画ではホモの人の繊細さが充分に描き切れてなかったように思われるが、ビスコンティ世界特有の凝ったセットや歴史実話として見れば充分に楽しい。
 ミュンヘンを本拠にしてバイエルンを支配したビッテルスバッハ王家の滅亡して行く様が良く描けていると思う。森鴎外は留学先のドイツでルードウイッヒ王の謎の死に出会いその事を小説に書いている。

史実によると王はホモであったとの事。「ホモの監督がホモの人を使ってホモの一生を描いた映画」という事で少し分かりづらい部分もあったが重厚且つ格調高い映画である。
 こんな事を言うとせっかく見ようとした人を怖気させてしまうかと心配するが、見て損はない一押しの映画である。いや絶対見るべき映画であろう。
 后妃エリザベート役がいい。彼女の美しさは伝説になっているが、ロミーシュナイダーが良く演じていた。彼女の優雅さや美しさを見るだけでも価値がある。  
今日の主題はやはりビスコンティと淀川さんに敬意を表して
ビールで「乾杯」そして 「サヨナラ ~ ~」 若い人にはこの落ちは分かるまい。

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