2010年8月13日金曜日

南ドイツにあるルードイッヒ王の3つの城

ドイツのロマンチック街道がらみのツアーは各社ともかなりの売れ筋ではないだろうか。そこで今日は夏場にお勧め・南ドイツの旅で良く行く3つの城「白鳥の城」 「リンダーホッフの城」 「ヘレンキムゼーの城」の話を少々
作った人:バイエルン国の王様ルードイッヒ2世。(この時代ドイツはまだ1つではない)
●建築時代:明治2年~18年(1869年~1886年//24歳~41歳=王の死で建築は終わる)
●王の人となり:2m近い長身・美男子。繊細・純粋・ホモ。父の若死にで18歳という若さで帝王学を学ばず王になり激動の時代に放り出された。
●時代背景:日本も明治維新という激動の時代。西欧もアメリカは南北戦争、欧州ではベルリンのプロシアがビスマルク宰相のお陰で強国になり当時の大国オーストリアやフランスに戦争を仕掛け、ドイツを1つにしようとしていた時代。
ルードイッヒ2世も最初はそれなりに政治に目を向けたようだがビスマルク戦争に引きずられてオーストリアに味方し負けてプロシアに賠償金を取られ、フランス戦ではビスマルクに引きずられ、勝ち組にはなったが国家財政の事で閣僚達から口やかましく言われ、政治が嫌になる。

それゆえ彼は自分の趣味の世界に逃避してしまう。特にワーグナーの追っかけとなり、彼のオペラに出てくる城を彼と一緒に6つまで作ろうとする(実際は3つしか作れず、それも2つは未完成)
それゆえ叔父さん一派に捕らえられて最後はミュンヘン郊外の城に幽閉され、そこで自殺している。
閣僚達にしてみれば戦争で悪化した財政の上に、城作りに湯水のごときお金を使われては国家財政が破綻というわけで、幽閉は仕方がなかった処置かも知れぬが。 実際は殺されたのではともいわれている
しかしこの城のお陰か今では南ドイツのこの一帯はドイツ最大の観光スポットとなり毎日観光客で溢れている。まさに歴史の皮肉である 。それでは3つの城の詳細。

◎「白鳥の城」:ロマンチック街道の終点にそびえる街道一の名城。この城は売れ筋のロマンチック街道のツアーで必ず行くので詳細は省く。1つだけ言うならば冬場はお勧めしない。それは城の全景を撮る場所(マリアン橋)が閉鎖されているからである。ツアーで行くと必ずミニバスで城の後ろまで行き、マリアン橋の上から綺麗な城の全景が撮れる。


かくゆう私も30年以上も昔「週間読売」という雑誌のポカリスウェットのCMに抜擢され、この橋の上から、写真をとったのです。なんと見開き1ページです。(写真の一枚は橋の上から=まだ髪の毛が有りましたよ)


◎「リンダーホッフの城」:3つの城の中で唯一完成している城。解説書ではベルサイユのトリアノンに似せてとあるが全く似ていない。こちらの城の方がずっと綺麗で洒落ている。
●1時間に一回出る大噴水は見事:これは地形の落差を利用し、電気などは使っていない。
●室内の家具・調度品の見事さ。全てロココ風で華麗ではあるが優しく見やすい。
●王の寝室のベッドからみる窓の外の景色:そこには城の後ろ側にある人工の滝がある(右は滝の写真) 。その素晴らしさはなんともロマンチック。こればかりは行かないと分からない。



●庭に作った人工のビーナスの洞穴:中はワグナーのオペラ「タンホイザー」そのまま。 小さな船が1艘浮かんでおり、照明具合によってはカプリの「青の洞窟」になる。
まだまだ一杯あるが、あとは実際行ってお確かめ有れ。最低1日は必要です。 (左写真)




◎「ヘレンキムゼーの城」:ミュンヘンからザルツブルグへの途中にある「キムゼー湖」の島の中に有るのでこれも最低半日は必要。余裕のあるツアーでないと行けない。
● 庭と宮殿内:ベルサイユ宮殿そっくり。中はフランス・ルイ王朝の王様達の肖像画で一杯
● 鏡の間:ベルサイユそのままのコピーだが時代が明治ゆえ、こちらの方が豪華に見えるかも (右写真)
●彼の寝室:とても凝っている。昼間寝て、夜起きていた王ゆえ、夜の明かりの照明が特に凝っている=青の球体で出来た照明球。ちょっと妖しい雰囲気 (左写真)

● 浴室の壁:ギリシャ神話のニンフ達。ここで王はお気に入りの小姓達と戯れたようだ。(右写真)
城の魅力は筆ではとても語り尽くせないので何とか行って見て欲しいのだが、無理な人にはお勧めの映画がある。ルキノ・ビスコンティ監督の「ルードイッヒ神々のたそがれ」という映画。この映画の中に3つの城がよく出て来た。
私的にはエリザベート役をやったロミーシュナイダーが今一。やはりこの役は若き日のイングリッド・バーグマンあたりにやってもらいたかった。

監督のビスコンティも主役のヘルムートも本物のルードイッヒ王もみんなホモ。
まさに「ホモがホモを使ってホモの映画を作った」ゆえ、見た後はホモホモするかな!?。

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