2010年6月10日木曜日

ローマらしい遺跡 パンテオン




ローマの市内観光の中では行けない観光スポットの一つにパンテオンがある。約2千年前に初代ローマ皇帝オクタビアヌスの片腕のアグリッパにより建てられ、一度火事に会ったのを同じローマ皇帝のハドリアヌスによって再建された神殿である。
観光がゆったりしていた昔は、またバスがもっとローマの中心部に入れた頃は観光でも足を踏み入れたのですが、スペイン階段あたりから20分ほど歩かざるを得ないので、旅行会社もツアーには入れない。自由時間が有れば私としては是非にでもと勧めている。行ってほしい遺跡の1つである。

ローマ遺跡は帝国が滅ぶ前後に侵入者の蛮族ゲルマン人やその後のキリスト教徒が教会を作るために壊されているので古代ローマを偲ぶ建物はこの神殿とコロッセオの2つ位しか残っていないのだが、コロッセオが三分の一しか残っていないのに比べこの神殿はほぼ完全に近い形で残っているので古代ローマを偲ぶには一番適した遺跡といってよいであろう。

ローマ観光では必ず入るバチカンのお寺にミケランジェロが設計したといわれる丸屋根があるが、その丸屋根部分をそのままそっくり地上に降ろした感じの建物と言えば想像できるでしょうか。お椀を逆さに伏せた感じの建物といった方が分かりやすいか。

パンテオンとはローマの言葉で「神々の館」という意味で、ローマで拝まれていた神々を中で一同に祭っていた神殿との事。進入してきたゲルマンの野蛮な民も中の貴重品を取り外すだけで、またキリスト教徒も壊せば自分が押しつぶされてしまうので壊すに壊せずキリスト教のお寺として使って来たのが歴史的背景である。あるいは壊すには勿体無いと感じたのであろうか、それほど凄い建物である。

地図を片手にローマのごちゃごちゃした下町を歩くと突然クーポラ型の神殿が現れる。A・AGRIPPAと刻まれた正面部分と大きな一本柱が何本も表玄関を飾っているのですぐ分かるのだが、この神殿の迫力はやはり中に入ってからであろう。

中での第一印象は2千年前によくこんな物を建てられたなというのが素朴な印象である。そして落ち着くと「ドーム型の屋根は落ちて来ないのかしらん」と心配になる。それは屋根の頂上部分がすっぽり丸く抜けて空が見えるからであるが、これは明り取りの役割をしており、雨の少ないローマでは降った雨も下に貯めて使うための装置でもある。しばらくたたずむと、その開いた丸屋根から入ってくる明かりにホッとし、次に建物の厳粛さと構造に圧倒され皆無言になるはず。何とも神を感じるローマらしい建物である。こんな所で古代ローマ人と対話するのも旅の楽しさのひとつであろう。
「機械もないのにこんな建物 どないして お前らローマ人は作ったん。えー答えてみいー」 てな具合に。

建物の中は有名人のお墓にもなっており、ローマ帝国崩壊後バラバラだったイタリアを今のイタリアの形に統一したビットリア・エマニュエル2世のお墓とルネサンスの3大巨匠のラファエロのお墓があるのでついでに見ておいて欲しい。 

「パンテオン作ったお人はアグリッパ。わたしゃ お口を アンぐリッパ!」  我ながら詰まんない落ちでした。

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