海面から高さ1メートルくらいの洞穴へ入るのがこんなにも難しくなったのはいつ頃からたろうか。若い頃この仕事を始めた頃は冬でも入れていたことを思うと感慨深いものがある。地球温暖化のせいで海面が上がったせいか、少し北風が吹くとすぐクローズするので今では冬は勿論、夏でも簡単ではないようだ。青の洞窟に行くなら風が少なく、かつ満月に近くない日を選ぶと良いのだが、そんな事は旅行者には無理というもの.
洞穴の入り口が狭く、入る時は4人乗りの手漕ぎボートにみな寝転んで入るわけですから、怪我でもして訴えられたら人権が高いヨーロッパでは馬鹿高いお金を取られるので、それだけ難しい。
洞穴を広げたり、海面の波をシャットアウトする壁などは洞窟に入る光の屈折が変わったり洞窟内の青い色が変わるのでなかなか難しい模様。
今回は前日が晴天にも関わらず入れなかったのか、増えてきた中国人観光客やロシア人のせいなのか洞窟前の海のボート上でなんと2時間待たされた。お陰でみな船酔いには悩まされるわ、予定していたカプリ島での自由時間がなくなって大変。洞窟を見てカプリでランチしてそのままローマに帰るという何とも忙しいツアーになってしまった。
最も青の洞窟に入るために3回もイタリアに来たお客様もいたことを考えると、満月近い日に入れた方が奇跡と喜ぶべきか。
この青の洞窟に関して一言。古代ローマ時代の文献があまり残っていないので何ともいえないが、初代ローマ皇帝オクタビアヌス(シーザーが後継者に決めた別名アウグスト=シーザーの姪の子)は自分の持っていたナポリ沖のイスキア島(この島の方がずっと大きく、古代ローマ人が大好きだった温泉が出る)と部下の持っていたこのカプリ島を交換して手に入れたとの事。どう考えても損な取引のはず。